可児市「電子投票無効判決」(名古屋高裁)についてーEVS見解

平成1739

平成17年3月9日、電子投票で実施された可児市議選挙(平成15年7月20日投票、ムサシ/富士通が受託)に、名古屋高裁が「選挙無効」を判決した。
 日本における電子投票の開祖である電子投票普及協業組合(略称;EVS)は、以下のような見解を公開する。

1.

『地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律』(平成13年法律147号)に、電子投票システムに関する検査、認証機関を設置しなかった。EVSは同法の立案以前から、検査機関の設置を主張し続けてきているのに、まだ実現していない。
 そのため、公開実証試験で安全性を公認されていない試作機器が電子投票事業に参入した。可児市が採用した電子投票システムもその類で、公式の選挙が実証試験の場にされた。ベンダー(供給業者)の製造者責任と、企業モラルが問われる。

2.

機種選考(2回)過程、「随意契約と決めながら入札を公募した」契約が不明朗であった。

3.

非技術者が運用困難なクライアントサーバー(CS)方式を採用したため、運用までも委託業者に丸投げせざるをえなかった。その結果、委託業者が故障/障害を隠蔽し、住民有権者の不信感を増幅した。

4.

「選挙無効」異議申立てに対して、投票記録の信憑性を証明する唯一無二のデータである『ログ』(操作履歴記録)を公開しなかった。ログの必要性は、「電子投票機に具備すべき条件」として、総務省の「電子投票利用による選挙システム研究会報告書」と「電子投票システムに関する技術的条件および解説」に明記されている。
 岐阜県選管の裁決書によれば、数投票所でログが紛失しており、可児市議選挙の信憑性は認め難い。

5.

名古屋高裁の判決は、電子投票の普及に検査、認証機関の設置を必要とする、言外の司法判断と受け止め、歓迎する。

6.

電子投票の信頼回復のためには、ベンダー(供給業者)の淘汰を迫られる。国が電子投票導入先進国のような検査、認証機関を設置しないのなら、どんな方法で信頼性をオーソライズするか?総務省をはじめ関係機関も検討中とのこと。

追伸(平成17年3月10日)

7.

EVSが16年にわたって築き上げた電子投票の信頼性を毀損した後発のベンダーに対して、電子投票事業の公益性を護る業界自主規制のため、損害賠償請求起訴を考慮中。可児市のベンダーである富士通、富士通フロンテック、ムサシの三社が当面の対象。

 

理事長