イタリア  電子機器を利用した投票/開票の実験

 

イタリア共和国上院

11国会

No. 1114

法案

提出者:内務大臣
(マンチーノ氏)

承認者:国庫大臣
(バルッチ氏)

議長への通知:1992年3月26日

電子機器を利用した投票/開票の実験  

各上院議員殿へ。本法案は電子機器による投票/開票の実験を試みる時代が到来したとの確信に基づいて国会の審議に提出されるものです。
 法律上の効力を持たせずに公式な投票と並行させて行う実験のアイデアは、採用されませんでした。
 実際、この方法は選挙関連機関も選挙母体をも関係させず、それ自体が洗練された演習の性格を持つものですが、世論から多様に評価される効果を持って、2つの国民投票に対して異なる形で答えを出すような方法でした。
 これとは逆に、現代的な電子媒体を使用した(やはり限定された実際の国民投票の)試験は、特に投票行為の純粋性のさらなる保護に努める政府の戦いに関連して、これらの媒体を利用することの利点と限界について貴重な手がかりを与えてくれると考えられています。
 実験の計画はアメリア市にゆだねられ、そのために同市は技術、財務面で絶対的な信用を誇る団体または企業に対して実験計画を委託しなければなりません。
 しかしその準備諸経費を減らすため、委託を受けた団体または企業は選挙のテストで使用される機器の利用を無料で提供し、またアメリア市はアプリケーション・ソフトの使用に関連する経費を負担することが予定されています。
 これに続いて内務省はアメリア市が負担した経費の払い戻しを行い、同経費の対価としてアプリケーション・ソフトの使用独占権を買い取ります。この買い取りは、規模がより大きな別の種類の国民投票を実施する機会に同ソフトを使用することも考慮した上で、同ソフトのさらなる実験と改良を目的とするものです。
 したがって154,700,000リラと推定される負担総額は、初めて投票/開票作業の電子管理を国家的規模で導入する可能性を確認するための具体的な実験を「公式に」開始できる唯一の機会によって広範に正当化されるものであると思われます。
 本法案では現在の関連規定に加えて、(またはその一部を廃止して)電子媒体を使用する投票/開票作業を調整する上で不可欠な規定を提示しました。
 つまりアメリア市の各選挙事務所での投票作業は、次に記される方法で行われるということです。
 現行の規定に基づいて選挙人の個人的な身元が確認されると、その選挙区の投票所の所長はどの国民投票に投票するのか選挙人に質問し、これに対して選挙人が指示した国民投票に限定して、投票ボックスに設置されたパソコンを起動させます。
 ボックスの中に設置されたスクリーンが、まず投票作業に関する注意事項を表示し、続いて選挙人が投票する意志を示した国民投票に関する最初の質問の番号と文、そして「はい」、「いいえ」、「白紙」の言葉がそれぞれ記された3つの異なる枠が表示されます。
 選挙人は、自分の答えに相当する部分を専用のペンで押して投票します(押された枠にはX印が表示されます)。
 投票が終わるとスクリーンには次の質問の番号と文が表示されます。このように選挙人が投票を希望したすべての国民投票の質問が連続して表示されます。
 また選挙人が間違って投票したことに気づいた場合のために、適当な技術的工夫がなされています。
 選挙人が選択したすべての国民投票に投票し終えると、その選挙区の投票所の所長は投票の追認と、密封された紙袋(その選挙区の検印と投票所の職員の署名によって認証された紙袋で、投票所に備えられた投票箱へすぐに入れられる)の中にすでに入っている1枚の専用カードに記された投票の自動記憶そして印刷に取りかかります。
 同時にこの投票システムは、選挙区の全選挙人を記録した専用ディスクに選挙人の氏名に対応させて、この選挙人の投票による意志表示を記録します。
 投票の終了が告げられると、投票所の所長は各国民投票ごとに投票者の総数に関するデータが記された一覧表を、またこれに続いて開票結果が記された一覧表をプリントアウトします。
 この実験によって達成されることが望まれている目標は、総合的に見ると、ひとつには開票における最大限のスピードアップとミスをなくすこと、そしてもうひとつは投票が操作されていないことを絶対的に保証すること、つまりあらゆる不正のケースを根絶することです。
 選挙区の縮小、集計人の数を減らせる可能性、1日だけで選挙を行うことなど、全国規模のシステムを導入することに伴う利点は容易に察知されます。

技術報告

1993年4月18日に予定されている国民投票の機会に、電子機器を使用した投票/開票作業の実験がアメリア市の24の選挙区すべてで行われます。
 ウンブリア州の法律に基づいて設立され、株主の大部分が同州の公共機関で占められているCRUED情報サービス(株)は、すべての投票作業を管理するのに必要な電子機器と選挙人が一票を投じるために必要な投票ボックスに設置する装置を各投票所の所長に提供します。これらの機器はパソコン、プリンター、その他の技術・予算計画書の中に詳細に示されている装置で構成されています。
 すべての選挙区が電子機器についてCRUED社の世話になることを考慮すると、関連する負担は同社からの機器の譲渡、つまり選挙作業の実施を可能にするアプリケーション・ソフトの独占使用ライセンスに関する負担だけになります。

総負担額は次のようになります。

ソフトウェアの独占使用の費用 ............................ 130,000,000リラ

IVA(付加価値税)の費用 .................................. 24,700,000リラ

. 154,700,000リラ

これらの負担額は内務省の支出見通し報告書の第1548項に記された準備金を使用して賄われます。

 

 

法案

1条

1. 次の国民投票の機会に、アメリア市内に設けられたすべての選挙区事務所では、投票/開票作業が電子機器を使用して行われる。

2. 投票/開票作業の準備計画はアメリア市によって行われ、同市は関連の実験計画を適切な技術的かつ資金的能力を備えた団体(企業)へ委託する。同委託を受けた団体(企業)は電子機器および関連する故障修理サービスの使用を無料で提供しなければならない。アメリア市はアプリケーション・ソフトに関係する費用を負担する。

3. 第2項の費用は、第10条の第2項の定めに従って内務省からアメリア市に払い戻され、同省はアプリケーション・ソフトの使用独占権を得る。

4. 第1項に示された投票/開票作業は、本法律および現在施行されている適用可能なその他の関連法規によって調整される。

 

2条

1. 1970年5月25日の法律第352号の第35条が定める国民投票用カードの代わりとして、テルニ県知事は国民投票当日の3日前までに、密封されたケースに入った各選挙区用の投票登録ディスクおよび密封された紙袋に入った、投票に必要な連続用紙カードをアメリア市長へ送る。

2. また第1項と同じ期限内にテルニ県知事は、各選挙区の検印と各選挙区の選挙人に関する密封されたディスクの入った密封された紙袋をアメリア市長へ送る。

 

3条

1. 第1条に記された国民投票の選挙区事務所の所長は、利用できる機器の使用に関して専門家に助言を仰ぐことができる。したがってこの専門家は各選挙区へ出入りすることができる。

 

4条

1. 投票所を設置する時に、所長は密封された紙袋とその中身を確認したあとで、現行法規に定められた他の作業のほかに、電子システムの始動とシステムへの磁気媒体の挿入を行う。

2. 投票の開始が告げられると、選挙人は投票所への到着順に投票が認められる。選挙人の身元と権利は現行規定に基づいて認識される。

3. 続いて所長は選挙人にボックスを指定し、専用のペンを渡したあとで、投票権の行使を立証する選挙証明書のクーポン券を切り取り、これを所定の紙袋の中に保管する。

4. また所長は各選挙人に対して、すべての国民投票またはその一部だけに投票する権限があることを指摘する。

5. 選挙人が棄権を意志表示した国民投票はプログラムから除外される。

 

5条

1. 所長が起動させた投票ボックスの中では、スクリーンが最初の質問の番号と文そして3つの異なる小正方形の枠を表示する。小正方形の枠にはそれぞれ「はい」、「いいえ」、「白紙」の文字が記されている。

2. 選挙人は、第1項に示された小正方形のひとつを専用のペンで押すことによって、一票を投じる。

3. スクリーンには、選挙人が選択した小正方形の枠にX印が表示される。

4. これに続いてスクリーンには次の質問の番号と文が表示され、さらに別の国民投票の質問の番号と文が国民投票の申請書の提出順に表示される。

5. スクリーンに表示されるカードは、国民投票の番号に応じて異なる色で表される。

 

6条

1. 選挙人が誤って一票を投じたことに気付いた場合、投票所の所長に投票作業のやり直しを求める。

2. 誤った投票は記憶されず、所長は投票ボックスを再度起動させる。

 

7条

1. 選択したすべての国民投票に一票を投じると、選挙人はボックスから出て、投票用のペンを返却する。

2. 所長は専用のキーを押して投票を追認する。この操作によって、各国民投票に投じられた票が記憶され、同時に第2条に示されたカードに印刷される。このカードには各選挙区の検印が押され、また投票所の係員の一人が署名する。同係員はこれらのカードをすぐに専用の投票箱に入れる。

 

8条

1. 投票作業が終了すると、投票所の所長は開票用のプログラムを始動させ、投票結果の印刷をシステムに命じる。

2. 1957年3月30日の共和国大統領令第361号の第67条第1項の3に定められた投票者の総数に関するデータは、紙媒体のプリントアウトを通じて電子機器から自動的に供給される。

3. 過去において故意に、または単なる不慣れのせいにはできない理由によって機器を不正に使用したと所長に判断され、したがって投票することを再び認められることがなかった選挙人は、今回、投票者と見なされる。

4. 投票されたカードは、有効なカードを入れるために用意されたそれぞれの紙袋に入れられる。これらの紙袋は司法機関からの要請がない限り、開けることはできない。

5. 開票結果が示された印刷物は3部作成され、投票事務所の全係員、国会の場で代表される政党の代表者、国民投票の主唱者の署名がなされる。

6. 前記印刷物の1部は、1957年3月30日の共和国大統領令第361号の第75条に定められた報告書の要約とともに、所定の密封された紙袋に入れて、早急に県知事へ送られる。

7. 第5項に示された印刷物の残りの2部は選挙区の報告書に添付され、現行の法規に定められているようにアメリア市へ送付される。

8. アメリア市の事務局へ提出する報告書には、投票の記録用ディスクが添付される。

 

9条

1. 投票所の所長はすべての作業が終了すると、選挙区の電子機器の機能を無効にしたあとで、アメリア市から受け取った(選挙の各一覧表が収められた)磁気媒体を回収し、同媒体を所定の密封した紙袋に入れてアメリア市へ返却する。

 

10条

1. 154,700,000リラと推定される本法律の施行から生じる1993年度の負担は、同年度の内務省の見通し報告書の第1548項に記された準備金で賄われる。

2. 第1項の費用はアメリア市によって前払いされ、国民投票の当日から3カ月以内に提出される資料を揃えた決算報告に基づいて、内務省から払い戻される。

 

11条

1. 本法律はイタリア共和国官報に公示された翌日より施行される。

 

 

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